1984年に滋賀県日野町で酒店経営の女性(当時69)が殺害され、金庫が奪われた「日野町事件」で、強盗殺人罪で無期懲役が確定した阪原弘(ひろむ)元被告について、大阪高裁(石川恭司裁判長)は27日、裁判をやり直す再審の開始を認めた大津地裁決定を支持し、検察側の即時抗告を棄却する決定を出した。
「即時抗告棄却 再審開始決定」
27日午後2時すぎ、大阪高裁の正門前。1984年に滋賀県日野町で発生した「日野町事件」の再審開始が高裁で認められたことを伝える旗が広げられると、集まった100人を超える支援者から「やった!」と歓声が上がり、拍手がわき起こった。
その数分後、支援者の前には、日野町事件で無期懲役判決が確定し、受刑中に75歳で死亡した阪原弘(ひろむ)元被告の長男・弘次さん(61)が姿を見せ、左手を高々と突き上げた。その手には、高裁が交付した決定文。「本当にうれしい。皆さんのご支援のおかげでこの良い決定を頂くことができた。ありがとうございます」と声を弾ませた。
阪原元被告は受刑中に再審請求を申し立てたが、2011年に病死した。弘次さんら遺族は「死後再審」を申し立て、大津地裁が18年、再審開始を認める決定を出し、検察側が即時抗告していた。(浪間新太)
「日野町事件」をめぐる経緯
1984年12月 滋賀県日野町の酒店経営の女性(当時69)が行方不明に
85年1月 町内の宅地造成地で女性の遺体が見つかる
4月 町内の山林で酒店の金庫が見つかる
88年3月 滋賀県警が阪原弘・元被告を逮捕
95年6月 大津地裁が無期懲役の判決
97年5月 大阪高裁が控訴棄却
2000年9月 最高裁が上告棄却
01年11月 元被告が大津地裁に再審請求
06年3月 大津地裁が再審請求を棄却。元被告が即時抗告
11年3月 元被告が死亡。再審請求手続きが終了
12年3月 遺族が大津地裁に死後再審を請求
18年7月 大津地裁が再審開始決定。検察側が即時抗告
20年6月 06年に再審請求を棄却した裁判官が即時抗告審の裁判長に就任。弁護団の抗議を受けて10日ほどで別の裁判長に交代
大阪高裁決定の要旨
滋賀県日野町で女性が殺害された「日野町事件」で、再審開始の判断を維持した27日の大阪高裁決定の要旨は次の通り。
【金庫の発見場所の説明につ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル